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2020.02.24
カテゴリー:医療
尖圭コンジロ-ム(尖圭コンジローマ)は肛門やその周囲、性器の周りにできる「いぼ」です。いぼができるのでいぼ痔ですか?といって来院される方もたまにいますが、いぼ痔とは全く違う病気です。小さないぼが数個から多数できる病気で、通常の場合にはいぼは症状を伴いませんが、ときおり焼けるような痛み、かゆみ、不快感が出る人もいます。
いぼは初めは軟らかく湿った小さな膨らみができ、ピンクまたは灰色をしています。これらは急速に大きくなり、表面はでこぼこで不規則になり、細い茎の先に付いた状態で皮膚から伸びてくることもあります。でこぼこした表面のために小さなカリフラワーのように見えます。多数のいぼが集まって生じることもよくあり、ひどくなると鶏のとさか(鶏冠)のようになることもあります。
原因としてはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で、主には性行為感染症ですが、それ以外の原因による感染も見られており、サウナや便器などの接触を介してうつったり原因がよくわからないなどの場合もあります。HPVは子宮頸がんなどの原因となることもありますが、子宮頸がんの原因となるものとは遺伝子型が違います。尖圭コンジロームの原因となることが多いのは6型と11型で、子宮頸がんの原因となることが多いのは16型や18型です。HPVの感染はまず性行為などにより生じた皮膚や粘膜の微少な傷から侵入することから始まります、傷より侵入したHPVは上皮の最下層にある基底細胞へ特異的に感染し、細胞内に取り込まれます。HPVはかなり長い時間を潜伏して過ごします。(潜伏期間は1-6ヶ月といわれています。)HPVが感染し、ウイルスにより導入された遺伝子が発現しだすと、基底細胞は増殖をはじめ、いぼを形成します。
なお、子宮頸がんワクチンのうち、4価ワクチン(ガーダシル)を接種すると尖圭コンジロームの原因となるHPV6型、11型を予防できます。現在のところ、定期接種となっているのは女性だけですが、尖圭コンジロームの予防効果は男性でも同様です。自費での接種となりますがご希望があれば接種を行います。
似ている病気で扁平コンジロームというものもあります。いぼがたくさんできる所は似ていますが、少し平らないぼができます。こちらはウイルスではなく梅毒というばい菌(梅毒トレポネーマ)による感染症です。このいぼはしばらくすると消えてしまいますが、菌自体は体内に残っており、放置すると様々の問題を起こしてしまいますので早期の治療が必要です。発見された場合は抗生剤で治療を行います。症状がある場合にはご自身で判断されず一度ご相談ください。
尖圭コンジロームはウイルスによって感染した細胞が増殖してできたものですので、抗ウイルス薬によって治すことができます。
イミキモド(商品名ベセルナクリーム)は2007年に日本で承認された抗ウイルス薬です。患部に塗ることでIFN-αやIFN-γなどのインターフェロン(免疫を活性化させる物質の一種です。)の産生を促進して免疫を活性化させ、ウイルスを退治します。治療は1日1回、1週間に3回就寝前に患部に塗って行います。完治には数週間かかることが多いです(60%程度の方が完治します)。免疫系を活性させる副作用により、患部に紅斑やびらん、や表皮剥離、潰瘍などを起こすことが多く(80%以上)、副作用が出てきた場合は使用の頻度を減らすなどの対策を行いますが、完治するまで塗り続けることができないことも多いです。
通常は、より早期に治すことができる方法として切除(手術)を行っていることが多いです。数が少ない場合には局所麻酔(注射の麻酔)で、多数の場合は仙骨硬膜外麻酔などで行います。
ただし、尖圭コンジロームは潜伏期間の長い感染症なので、手術で切除を行っても数か月の間は時間がたってからまたできてくる場合がありますので定期的な経過観察が必要です。
症状があり、ご心配な場合には一度ご相談ください。
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