赤羽根医院

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赤羽根医院ブログ

肛門が痛い – きれ痔(裂肛)について

2020.03.27

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皆さんは便をするときに「お尻が痛い!」となった事はありませんか?
お尻が痛くなる病気はたくさんあるのですが中でもそういった「肛門の痛み」があるとして来院される方の中で最も多いのが切れ痔(裂肛)です。
切れ痔は文字通り肛門にできる傷ですが、肛門はかなり敏感で、また便が通るときに擦れるのでかなり強い痛みが出る事もあります。
最初のうちはただの傷ですので塗り薬を使ったり、便秘にならないようにしていればじきに治ってきますが、長期にわたって切れたり治ったりを繰り返していると、なかなか治らなくなり、厄介なことになる場合もあります。

切れ痔の主な原因は

下痢や便秘などの排便習慣
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患
飲酒や冷えなど肛門の血流が悪くなるような事

などが主な原因となる場合が多いです。

「急性」の切れ痔と「慢性」の切れ痔

切れ痔(裂肛)には急性のものと慢性のものがあります。

急性裂肛


急性裂肛は硬い便が出た時に肛門が切れてしまって痛みが出る状態です。
肛門の傷は浅く、きれいな傷です。生活指導とともに軟膏を使ったり便を軟らかくする薬を使ったりしていると多くの場合は自然に治っていきます。

慢性裂肛

慢性裂肛は肛門が切れたり治ったりを数ヶ月の間くり返すことにより傷が深く、硬くなり、うまく治らなくなってしまった状態です。また裂肛の前後にポリープ(肛門ポリープ)や皮膚のたるみ(皮垂)ができたり、傷の部分が硬くなる事によって肛門が狭くなってしまったりします。場合によっては痔瘻という穴ができてしまう場合もあります。また、痛みが排便後も長時間続いたり、うまく便が出なくなるなど症状も悪化してくることがあります。慢性裂肛は単に便が硬いだけでなく肛門の筋肉の緊張が強すぎることにより、肛門の血流が悪くなって起こるものだと言われています。
慢性裂肛についても薬や生活指導などで治療する事がありますが、なかなか良くならない事も多いです。海外ではニトログリセリン軟膏やカルシウム拮抗薬の軟膏など、平滑筋の緊張を緩める薬を使う事がありますが、頭痛などの副作用もあり、また日本では保険医療として認められていないため、あまり行われていません。どちらかというとシワの治療などで知られるボトックス注射(ボツリヌス毒素 筋肉を弛緩させる作用がある)を行なっている国もありますがこちらも日本では保険医療として認められていませんのであまり行われていません。
日本では肛門の筋肉を緩める手術や狭くなってしまった肛門を広げる手術が主に行われており、当院も治りづらい方や痛みの強い方にはそれらの手術を行う事があります。
ボトックスやニトログリセリン軟膏などと手術との比較では、手術の方が再発率や症状改善効果は高いとされていますが、一方で便失禁などを起こすリスクは手術の方が高いとされています。当院では便失禁を起こさないように括約筋の切開については十分な注意を払って行っています。

切れ痔に対して行う手術

切れ痔については3種類の手術を組み合わせて行っています。

肛門潰瘍切除術

いぼ痔に対して行う手術と似ています。慢性の裂肛に伴う皮膚のたるみ(見張りいぼ)や肛門潰瘍(深い切れ痔)、肛門ポリープなどを切り取る手術です。深い切れ痔がある事により痛みがある場合に行います。見張りいぼを取るためや傷から出る膿や浸出液を逃がすために、肛門の外側にも小さな傷を作り、きれ痔の部分をはがして切り取ってきます。傷のところについてはしっかり治ってくるまでは黄色い液体が出てきますが、これは血ではなく組織液であり異常ではありません。(肛門は常に便が通り、清潔に保つことが難しいのでこのような工夫をしています。)

場合によっては下記の括約筋切開術などと組み合わせて行います。

内肛門括約筋切開術

肛門括約筋という肛門を締める筋肉を「切って」しまい、肛門の緊張を緩める手術です。肛門をしめる力が強すぎると、おしりの皮膚の血の巡りが悪くなってしまい傷の治りが悪くなってしまい、それにより慢性の切れ痔となるため、このような手術を行います。この手術で切る肛門括約筋はいくつかある肛門括約筋のうち、内肛門括約筋の一部です。内肛門を切りすぎたり、ほかの括約筋も切ったりすると肛門が変形したりする場合もあります。
内肛門括約筋切開術については括約筋を切る具合が重要になってきます。肛門括約筋はお尻を締めている筋肉ですから、あまり切りすぎると便失禁の原因となります。
肛門の閉まり具合を慎重に見ながら手術を行い、括約筋が少し残るように切開をしています。

皮膚弁移動術

慢性の裂肛に伴う皮膚のたるみ(見張りいぼ)や肛門潰瘍(深い切れ痔)、肛門ポリープなどを切り取るとともに、肛門の外側で皮膚に傷をつけ、この皮膚を肛門の内側に移動させてきます。肛門の潰瘍や肛門ポリープを切り取った傷にこの皮膚を縫い付けて保護します。
きれ痔を繰り返して肛門が狭くなってしまっている方に行う手術です。上記の括約筋切開術を同時に行うことも多いです。

痔瘻根治術

切れ痔の傷から痔ろう(あな痔)になってしまっている場合に行います。痔瘻のトンネルを取る手術を行います。通常、裂肛痔瘻では痔ろうができることによって肛門に硬いところができ、狭くなってしまっていることが多いので、この手術を行うのみで症状が良くなることが多いです。

切れ痔にならないようにするには

繊維質のものや水分をよく取り、運動をして便秘にならないようにする。
お酒などはあまり飲まないようにする。
など、生活習慣の改善が主な治療となります。

切れ痔になってしまったかなと思ったら、お近くの肛門科、もしくは肛門外科を受診しましょう。
自分で肛門を見ることは難しいので切れ痔と思っても他の病気があったりする場合もあります。

赤羽根医院では裂肛についても診断、治療を行なっています。まずは生活習慣の改善やお薬での治療を行いますが、必要な場合には手術も含めた治療をご提案します。

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