赤羽根医院ブログ

保険医療とは?

日本の医療システムは国民皆保険の健康保険制度によって守られています。実際に、体調が悪くなって医療機関にかかっても(緊急入院になってしまった場合などは別ですが…)突然何万もの請求をされるようなことはまずあまりありません。クリニックならばなおのこと(少なくとも金銭的には)気軽に受診することができます。また、がんの治療や手術などで医療費が高額になってしまった場合には(人によって限度額は異なりますが)高額療養費制度というものもあり、お金が返ってくることもあります。財源などの面から批判されることも多いこれらの制度ですが、私は(色々な問題があるにせよ)これら自体はとても良い制度だと思っています。

一方で、人間ドックを自分のお金で受けたことはあるでしょうか?あれって結構高いですよね。
ちょっといくつかの検査をするだけで数万円が取られてしまったりします。PET検査や内視鏡などを受けたりしたら10万円コースです。

これらの違いを生んでいるのが日本の健康保険制度です。健康保険を使う限りにおいては患者さんは1-3割の自己負担で医療を受けることができます。しかしながら全ての医療行為が保険で行えるというわけではありません。この制度の理念は、病気で治療が必要な人の医療費を皆で支え合うというものです。そのため、症状は無いが病気になっていないか不安であるとか、ある程度の年齢になったので調べておきたいと言った、病気がはっきりと疑われるわけではない場合には、健康診断であると判断され、健康保険を使うことはできない場合があります。保険診療の財源は限られていますので、実際に今すぐ治療が必要な方にそのお金を使えるようにするために必要な判断だとご理解下さい。ただし、自治体の行っている住民検診は自治体から補助が出ますし、検診で異常が指摘された場合(便潜血やABC検診など)には保険適応で検査を受けることができます。

治療なのに自費になる場合って?

また、少し違う話になりますが、一部のクリニックが行っていたりする、がんの免疫療法や民間療法、丸山ワクチン、ビタミン点滴(過剰のビタミンは通常尿として捨てられますが、あまりにも多量のビタミン投与は発がん性が出るとの報告もあります)、美白点滴(実際にはグルタチオンなどが点滴されるようです)などについても自費医療となっていますが、これらについては大きな闇があります。実はこれらについては「効かない」(少なくとも効いていることを証明できない)ために自費医療となっているのです。(本当に効く治療というのは誰かが報告して手柄を立てようとしてしまうために、すぐに保険診療となってしまうのです)高額のお金を払うと良い治療を受けた気分になってしまうことがありますが、治療をうたっているのに自費治療となっている場合はよく注意をして下さい。

また、薄毛治療や美容医療などについても自費治療となりますが、これは効果がないという意味ではなく、「薄毛や美容は病気ではない」という考えによるものです。

自費での内視鏡検査について

最近、当院でも自費での内視鏡検査などについてお問い合わせをいただく場合があるため、こちらに目安を示しておきます。ただし、最終的には医師が診察して必要性を判断します。
状態によっては保険診療となることもありますのでご相談ください。

保険診療になる場合

　　ピロリ菌やABC検診で異常があると言われた。
　　健診の便潜血検査で陽性と判定され、精密検査を受けるように指示された。
　　以前にポリープを切除したことがあり、定期的にチェックを受けるように指示されている。
　　胃腸の病気を以前に指摘され、定期的に検査を受けるように指示されている。
　　排便時に便に血液や粘液が混じることがある。
　　1ヶ月以上下痢や腹痛が続いている。
　　最近急にお腹がはるようになった
便意があるのに便がすっきり出ず、1日に何回にも分けて小出しに便が出たり、便が細くなるなどの症状が数日-数週間続いている

など 。

自費健診になる場合

　　特に症状はないが節目の年齢になったので検査を受けておきたいという場合。
　　家族に大腸癌やポリープが多いので何となく心配という場合。(家族に遺伝性大腸がんの方がいたりする場合やかなり若いのに大腸がんになった方がいる場合には保険適応です。)
　　特に症状はないけれど何となく心配という場合。

など。

最終的には医師が診察して必要性を判断します。状況によっては保険診療となることもありますのでご相談ください。

参考に当院でのドック検査の場合の料金を示しておきます。
胃カメラ健診(ドック)
問診など
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)(希望などに応じ、鎮静剤などを使用します。鎮静剤などの価格を含みます)
15000円

大腸カメラ健診(ドック)
問診など
下部内視鏡検査(大腸カメラ)(希望などに応じ、鎮静剤などを使用します。検査に必要な下剤・鎮静剤などを含みます)
20000円

いずれの場合も検査が必要な病変やポリープなどが見つかった場合は一部、または全部が保険診療となりますので、必ず保険証はお持ちください。

保険診療での内視鏡検査については胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査のページをご覧ください。